隣の菅野さんちは我が家の一部

2020.07.21

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はじめまして、高田暮舎の越戸です。
このコラムに顔を出すのは初めてです。今後、よろしくお願いします。

さて、何を書こうと考えて自分の生活を思い返してみると「家」にまつわることがとても多い。
仕事は空き家を専門にしているし、個人的に扱っている家はシェアハウスなど3軒。

家が好きなんです。

ということで、5年前に空き家を譲ってもらい、夫婦2人でコツコツと直しながら住んでいる我が家のお話です。

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長い坂に20軒にも満たない家がポツリポツリと並ぶ我が集落。

段々畑のような土地に各家が建っていることもあり隣接する家はないのだけど、下の段の家を隣というのなら、菅野さんのお宅が隣の家ということになる。

腰が曲がってほとんど外出をしない菅野のばあちゃんは家のまわりの畑をとってもきれいにつくる。

春のキャベツはお店のものよりも立派だし、菜の花は見た目にもきれいで私の春の大きな楽しみの一つだ。

特に夏野菜が得意で、お裾分けにもらうのはスーパーの袋に入りきらないきゅうり、ナス、トマト。夫婦二人暮らしの我が家はお裾分けだけでいつもお腹いっぱいなのだ。

いつも窓を開け放っている我が家から見える菅野のばあちゃんとその畑。季節の花が咲き、猫たちが遊ぶその風景は(勝手に)我が家の一部なんだと感じている。

この家に引っ越して5年。毎日みるこの風景がいつまで続くのかは分からない。というかずっと続くものではない。

でも?だからこそ?その風景は愛おしい。

今我が家では夫婦2人で暮らしているが、8月には家族が1人増える。我が家の窓から見える菅野のばあちゃんの畑が、その子の人生にも季節の花のようなたくさんの色をつけてくれますように。

執筆者プロフィール

越戸 浩貴

2013年に陸前高田に移住したのち、民泊事業や空き家事業、郷土芸能活性化、アーティストインレジデンスのディレクターなどを務める。家好きが極まって3軒の空き家を所有したり運用したり。壁一面のレコードとかCDとか本に囲まれて暮らしているコレクター型人間。