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初めて足を踏み入れたまちで、ちょっと相談したいことがあるときに。
住んでいる土地から少し遠くへと出発する前に、何か解決しておきたいときに。
あなたなら、どこへ向かいますか?
今回紹介するのは、陸前高田市に住む人や、陸前高田市の外から訪れる人に寄り添って、人と町との関わりを支えていく仕事です。
陸前高田市観光物産協会は、市内の情報発信や観光案内、イベントの企画運営、町のPRなど、陸前高田市の観光に関わる事業を幅広く手がけている団体。
事務所兼案内所があるのは、陸前高田市役所の隣。「栃ヶ沢駅」というバス停を降りて、すぐ目の前に構えています。仙台や東京から直通のバスも停まるので、市外から来た人にとっては一番最初に目にする場所かもしれません。
今回は、この陸前高田市観光物産協会で業務全般を担う事務局スタッフを募集します。
まずお話を伺ったのは、事務局長の桒久保博夫(くわくぼひろお)さん。
桒久保さんは東京都出身。2011年から陸前高田に関わり始め、7年間ほどNPO法人で働いていました。
「陸前高田に住まいを移してから、生活支援相談員やボランティアの受け入れのコーディネーターなど、その時々で求められることを全うしたいという思いでまちに関わってきました。それが今は観光。以前は宿泊施設のセンター長をしていました。その中で、市内の観光地や施設の役割を広く捉え、繋げるコーディネーターのような役割が必要ではないかという話になって。自分がそれを担うことで地域がまとまるのであればと思って、観光物産協会で働きはじめました」
観光物産協会では、ポータルサイトやSNSを使った地域の情報発信や、窓口を訪れる人への観光案内をしています。そのほかに陸前高田市への誘客や誘致活動のバックアップなどの役割も。桒久保さんは現場の統括責任者として、そういった業務全体をみる役割をしています。
仕事の特徴のひとつは、行政と連携していく内容が多いこと。観光物産協会で取り組む仕事は、市役所から依頼を受けて始まることもあれば、自分たちから提案したものを委託事業として進めることもあるそう。
「行政と一緒に仕事をする」というと、馴染みのない人にとっては少しイメージしづらいかもしれません。どういったことが求められるのでしょうか。
「これまで役所と二人三脚で取り組んできた部分が大きいので、一般的な民間の企業よりは公的な感覚は必要だと思います。公共性というか。例えば何か事業に携わるときに、一点ではなく全体を見ようとする視点は大切かもしれません」
桒久保さんは今、9月に新しくオープンした道の駅高田松原内に設置される観光カウンターの開設準備もしています。
新しく入る人は、ここで観光コンシェルジュとして案内をすることもあるそう。
まちの案内所も、道の駅の観光カウンターも、陸前高田市を訪れる人と最前線で関わる場所。
これまでそうした関わりを続けてきた存在だからこそ、「まずは新しい場所に、今までやってきたことを持っていきたい」と桒久保さんは言います。
「新しい観光カウンターは、まさにこれから作っていく段階。今はそこで特別なことをやろうというよりも、まず自分たちがこれまでやってきたことを持っていくという感覚でいます。
ただ、道の駅や陸前高田での滞在をどういった形で体験するかということは、これから先スタッフやお客様と一緒に作り上げていくものだと思う。まずは今まで培ってきたものを提供し、そこで良かったことをまた案内所へ持ち帰るというふうに作ってきたいです」
これまで積み重ねてきたことと、新しい場所で試行錯誤していくこと。観光物産協会が一つ新たな道を歩み始める中で、スタッフの役割も大きそうです。
新しく入る人に期待したいことはありますか。
「本当に抽象的な事なんですが、根本的に必要なことって、目の前のお客様に喜んでもらえることが自分の喜びになるかどうかだと思っていて。これは本当に一番必要なスキルだと思います。あとは、旅や食に関心があること。それを人に伝えることを、自分の喜びにしていけたらいいですね」
スタッフの熊谷葉月さんは、まさに「目の前のお客様」に向き合い続ける一人。
「もともと”地域の人とほかの人とを結ぶ架け橋になるような仕事ができたらいいな”という目標があって。そういったことをできる仕事を探していました」
熊谷さんは、陸前高田市気仙町出身。大学を卒業して名古屋市内の企業に就職した後、2019年4月に地元へ戻ってきました。
「そんな風に思うようになったのは、東日本大震災がきっかけで。たくさん支援をいただく中で『どうしたら頂いた物を返していけるか』と考えるようになりました。何か自分でアクションを起こしたいと思ったときに、まちの外から人を呼んできたり、現在の陸前高田の状況を発信していけば、ちょっとした恩返しができるんじゃないかと思って。それならコーディネーターというか、地域と人とを繋ぐ役割を担えたらいいんじゃないかと思ったんです」
観光物産協会に入社して半年ほど。今は案内所へ訪れる人への案内や、協力者である語り部ガイドさんの手配の調整、海外から訪れるお客さんの受け入れ対応などをしている熊谷さん。
印象に残っている出来事として紹介してくれたのは、夏祭りイベントのMCを任されたときの話。
「初めてのMCだったので、最初は自分が本当にできるのか不安で。主役は踊る人たちなので、私が何か下手なことをして良くも悪くも目立ってしまったらどうしようと思いながらも、当たって砕けろの精神でやってみたんです。
体を動かすのが好きなので、MCの席にいながら手を振って踊っていたら、いろんな人がそれを見てにっこり笑いながら踊ってくれたり『ここで司会してないではまらい』と言ってもらったりして。ちょっとしたコミュニケーションを取れたのが嬉しかったですね」
「人と話すことが好きなんです」という熊谷さん。
お話を聞いていると、目の前の一人ひとりと丁寧に向き合っていく様子が伝わってきます。
「地元の方、観光で訪れる方など様々な方と関わるので、相手が何を伝えたいのかということはすごく気にする様にしていて。特に海外からのお客様の対応もあるので、しっかり目を見て話すように、ということを心がけています」
まちの中心地と、新たな観光の入り口である道の駅とに窓口を構えることによって、観光物産協会はこれからも人とまちとの繋ぎ手として機能していくのだと思います。
単に観光案内をするだけでなく、「目の前の人」の喜びを一緒に作っていく、ということに興味があったら、ぜひ一度連絡してみてください。
桒久保さんや熊谷さんと一緒に、まちの笑顔を作っていく仲間を募集しています。