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2012年に設立されたNPO法人りくカフェ。東日本大震災後、住民が気軽に集い、憩える場所を求める声が多く聞かれたことをうけ、市内で診療所を運営していた地元の医師や地域の女性たち、そして建築・まちづくりの専門家たちによって設立されました。
現在は、地域の人にとって力が湧き出る場所をつくることで「陸前高田が新たに生まれ変わっていく」という希望を持ってもらうことを目指し、心と体の健康をテーマにした健康ランチの提供や健康に関する講座、コンサートなどのイベントを開催しています。
今回募集するのは、事務局としてりくカフェの運営を支えるスタッフ。
事務局といっても、助成金の申請や料理の提供など、仕事には横断的に関わっていくことになると思います。食と健康に関わりながら、初めてのことにもどんどん挑戦してみたい、という人にぜひ読んでほしい募集です。
りくカフェの建設が計画されたのは、2011年8月。東日本大震災の被害を受けて失われた地域住民の交流の場や新たなコミュニティづくりに繋がる環境をつくることを目指して始まりました。
カフェの設計や開設に向けた準備は、住民だけでなく首都圏の大学や専門家、行政、民間企業が協働で実施。プロジェクトが立ち上がった半年後の2012年1月、仮設のりくカフェを開設し、コミュニティカフェとしての活動が始まりました。
その翌年、りくカフェ本設にむけて地元のメンバーと専門家が連携。クラウドファウンディングにも挑戦し、2014年10月、本設のカフェがオープン。地元の住民がスタッフとなり、カフェと交流スペースを運営しています。
本設のりくカフェには、オープンキッチンスタイルの厨房を設置。カフェに訪れるお客さんとの会話も弾みます。
りくカフェで主に取り組んでいる事業は、「食育事業」と「コミュニティ再生支援事業」。
食育事業では「心と体の健康」をテーマに、旬の食材と栄養バランスにこだわった健康ランチを提供。低カロリーで減塩の食事を、お母さんたちが毎日手作りしています。隣にある医院の待ち時間にお茶を飲んだり、食事をして帰る方も多いそう。
りくカフェのランチメニューは週替わり。お肉とお魚のセットのほかに、カレーもあります。
もうひとつの事業が、「介護予防事業」。「介護を必要としない健康な高齢者を増やして、地域を元気にしたい」という想いで始まったりくカフェスマートクラブは、ヨガ教室や調理実習といった健康に関するテーマの教室を10回1コースとして開催する取り組み。その他に、毎週の栄養相談やレシピ配布などもしています。「運動、食事、生きがいづくり」を軸に活動を続け、これまでに200人以上の人が参加をしました。
カフェやスマートクラブを運営しているスタッフのひとりが、りくカフェ理事の鵜浦淳子さん。
「私たちが今活動している理由は、やっぱり陸前高田のまちのひとを元気にしたいからです。予防医学を通して地域の人たちの健康づくりをすること、そしてここが誰でも気軽に集まれる第三の居場所のように、家でもなく職場でもなく、来ればほっとするような場所でありたいと思っています」
鵜浦さんは、カフェの運営やメニューの考案、スマートクラブでの講習など、「お店を見渡す」役割を担っています。
りくカフェに訪れるのは、スマートクラブを利用する地域の高齢者から、ランチをしに訪れる近隣の会社員まで幅広い年齢層の方たち。そんななか、鵜浦さんが大切にしているのは「楽しく続けること」だといいます。
「お店を利用する人が、みんなで楽しくやってもらえればそれでいいなって思っています。健康というと健康診断の数字をイメージされがちですが、心の健康もある。私たちのつくる食事も健康を意識しているけれど、続けるためには美味しくて、楽しいことが大事だと思っていて。みんなと会話をしながら楽しく食事をするような、心と体両方の健康づくりを心がけて、みんなに元気になってもらいたいんです」
続いてお話を聞いたのは、りくカフェ理事の及川恵里子さん。
りくカフェの事務局として、経理や広報、講師の手配や助成金の申請といった事務全般を担当しています。
及川さんは、「りくカフェの取り組みを地域の人たちへもっと広めていきたい」という想いもありながら、課題も抱えていると話します。
「私も、まずは地元の人たちに健康になってもらいたい。そのためには、もっとりくカフェを知ってもらわないといけないなと思っています。今はまだ、『隣にある医院に通っていないと利用できないのでは』と思われていたり、そもそも外食をする習慣のない人も多い。本当は、もっと気軽に訪れてもらい、利用する人たちから『こうしてほしい』『こんなことをしたい』といった声をもらえるような環境をつくっていきたいんです」
また、さらに見えてきた課題は、コミュニティの再生や繰り返しの転居によって新しいコミュニティーにどのように馴染んでいったらいいか不安を抱えている人たち。そういった人を対象に、地域で交流ができるきっかけづくりにも出向き始めています。
今回の求人で募集するのは、事務局として及川さんのアシスタントをしながら、お店の広報、コミュニティ支援事業などの仕事に携わる人。どんなことが求められるのでしょう。
「一番は、食や健康づくりに興味があること。そのうえで、陸前高田市の外から来るからこそ見える視点を生かして発信の仕方や、りくカフェに必要なものが何かを一緒に考えてもらえる人だといいですね。でも、やっぱり一番はりくカフェの想いに共感できるかどうか。事務局にしてもカフェにしても、まずは想いが通じることが一番大切だと思っています」
おふたりのお話を聞いていると、まちを想う強い力が伝わってきます。
この想いはどこから湧いてくるのだろうと思っていると、鵜浦さんが伝えてくれました。
「震災後、いろんな人から『陸前高田のために』とお世話になったことがすごくありがたくて。りくカフェを建ててくれた人や、支援してくれた人たちをはじめ『なんでここまでしてくれるの』ということをたくさん感じました。だからこそ、それに応えたいというか。お世話になった分、今度は地域の人の健康づくりを通して、新しい陸前高田を、元気なまちをつくりたいです」
様々な悩みや課題を抱えつつも「想いだけはいっぱいあって」という二人からは、「まちのために、なんとかしたい」というポジティブなエネルギーが伝わってきます。そんな前向きな空気に引き寄せられて、日々お客さんたちが訪れるのかもしれません。
そんな陸前高田のお母さんたちと一緒に、元気なまちづくりをしていく人を待っています。