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2019年秋、陸前高田市に「岩手三陸のゲートウェイ」を新たなコンセプトにした、「道の駅高田松原」がオープンしました。オープン以降、全国各地から三陸地方に訪れる人たちを迎え入れています。
今回は、道の駅高田松原を運営・管理をする「株式会社高田松原」のスタッフ募集についてご紹介します。
震災前、日本百景として国の名勝に指定されていた高田松原は、岩手県を代表する観光地でした。夏の観光シーズンには海水浴場が人で溢れかえるほど人気の観光スポット。そして、道の駅高田松原は、陸前高田に訪れる人たちを迎え入れると同時に、地元の人たちにとって国道沿いの産直施設として親しまれていました。
ところが、東日本大震災の津波によって陸前高田は大きな被害を受け、道の駅も被災し長期間にわたる休業となりました。復興への取り組みを進めていく中で、高田松原一帯が津波復興祈念公園として生まれ変わり、その一角に道の駅高田松原が再建されました。
今では、三陸復興の象徴的存在になった「奇跡の一本松」を見る観光客や、国営追悼・祈念施設に訪れる人たちが、三陸や陸前高田の特産品を買うために立ち寄っています。
そんな道の駅高田松原を管理・運営している株式会社高田松原では、働く上で、スタッフに大事にしてほしいことがあります。それは、「仕事を楽しむこと」と「仕事の中で自己実現をしてほしい」ということ。
仕事の内容や働く環境、やりがいについて、4人のスタッフからお話を伺いました。
仕事を通じて、いろんなことを経験したい
最初に話を聞いたのは、地元出身の星志乃さん。地元が大好きで、高校を卒業後も地元を離れず、ずっと残りたいという気持ちを持っていました。
飲食事業担当の星志乃さん
高田高校を卒業した5か月後、道の駅のオープンに合わせて入社。直営飲食店のカフェに配属されています。接客やドリンクを作るのはもちろん、メニュー開発も行っています。これまで、ホットサンドやタピオカドリンク、いちごシェイクなど、地元食材の特性を生かしたメニューを開発しました。
「メニュー開発の着想から完成するまでの道のりが、とても長いんです。上司からなかなかOKをもらえなかったり、自分でも納得できるものにならなかったりして。でも、自分が作ったメニューをお客様に購入してもらった時、すごく嬉しいです。もともと料理も好きだったので、メニュー開発が楽しいですし、やりがいになっています。」
星さんがメニュー開発したシェイク
メニュー開発は、他のスタッフや企画担当と一緒に行うことも多く、自分では思いつかなかったアイデアやアドバイスを聴いて学びを得ている星さん。
「まだまだ経験できていないことが多い分、もっとやってみたいし、いろんなことを経験してみたい、という思いがたくさんあります。」
星さんは、チャレンジしやすい環境で働けていることに喜びを感じています。
「やりたい」を後押ししてくれるからチャレンジできる
サービスカウンターで、売り場全体の管理(フロア管理)を担当するのは、淺沼久瑠美さん。
お隣りの大船渡市出身で、大学進学のために盛岡に移住し、卒業後は盛岡でメディアの仕事をしていました。しかし、大好きな地元に戻りたいと考えていたタイミングで同社の募集があり、アルバイトでもいいからと思って面接を受け、入社しました。
フロア管理担当の淺沼久瑠美さん
フロア管理は、物産施設の管理業務のほか、商品の発送、ECサイトの運営も行っています。フロア管理に異動して丸2年。1日のタスク量は多いものの、その分勉強になることもたくさんあるそうです。
「接客の仕事は、一番やりたいことでした。フロア全体をみる責任ある仕事に就かせてもらっているので、緊張感を持ちながらも楽しく仕事ができています。今まで経験していないことを多岐にわたってやらせてもらっているので、やりがいがありますね」
淺沼さんは、道の駅での仕事のほかに、実は複業もしています。
もともと食品サンプルを集めるのが好きだったことから、独学でハンドメイド作品を作っていたそうです。ある時、自分のハンドメイド作品を職場へ持っていったところ、他のスタッフや上司から「これ、商品化して道の駅で売ればいいじゃん!」と声をかけられたのがきっかけで、道の駅で販売することになったのです。
淺沼さんが作った食品サンプルの商品
「趣味としてやっていたことを、商品にするのは自信がなかったのですが、先輩たちから『自分のやれる範囲でやってみたら』と背中を押してもらいました。自分が作ったものを、手に取って写真を撮っている人を見かけた時、嬉しかったです」
同社では複業が認められており、淺沼さんを含めて3人のスタッフが、個人事業主として別の仕事を持っています。そんなことが、淺沼さんにとっても仕事へのモチベーションに繋がり、「機会を与えてくれる環境がありがたい」とも話してくれました。
地元の魅力を発見して、発信していく
次にお話を伺ったのは、飲食事業の管理運営と、観光で訪れた人たちの旅のサポートを行っている旅行事業を担当している竹田耕大さん。神奈川県出身で、陸前高田市へボランティア活動で訪れたのがきっかけで、地域おこし協力隊として着任・移住し、卒業後は配属先の同社へ入社しました。
同社では、就職を機に移住した場合、独自の住宅手当を助成しています。地域に暮らす人はもちろん、岩手県外から移住して一緒に働いてくれる人たちを積極的に受け入れ、支援しています。竹田さんもその住宅手当を受けている一人です。こうしたサポートも、移住者にとっては働きやすさにつながっています。
飲食事業と旅行事業を担当する竹田耕大さん
道の駅では土産品などを販売する売り場のほかに、飲食店2店舗を直営しています。また、岩手県登録旅行業者として、インフォメーションデスクを旅行業の窓口としており、複合的な業務を行なっています。
竹田さんは、飲食事業と旅行業の2つを担当し、まさに二足の草鞋を履いて仕事をこなしているのです。
「新型コロナウイルスによって休業せざるを得ない時期もありましたが、今では小中高校の修学旅行や、バスツアーなど団体旅行のお客様が増え、たくさんの観光客が陸前高田市を訪れてくれています。地元の食材を使った料理を提供したり、そうかと思えばガイドツアーを行なって、陸前高田の復興の姿や三陸の魅力を伝えたりしながら、ここに来てくれる人たちに、訪れて良かったなって感じてもらえればって思います」
移住者である竹田さんは、地元の人たちとも積極的に交流し、「氷上太鼓」「仲町虎舞」など伝統芸能の活動にも参加しています。
「移住者同士のコミュニティもあるし、シェアハウスに住んでいる人たちも多いです。もちろんそれも楽しいのですが、せっかく陸前高田に住んでいるので、地元の人たちの輪に飛び込んで自分なりに地元の魅力を発見していって、それをまた、ガイドツアーなどで外の人たちにも伝えていければいいなぁって」
仕事もプライベートも、自分で楽しみを見つけて充実した暮らしを送っているそうです。
理解してくれている人たちがいることで、働く選択肢が広がる
同社では、子育てをしながらでも働きやすい環境を目指しています。1歳のお子さんを育てながら、契約社員として働くAさんは、企画事業のスタッフとして、商品やメニュー撮影、掲示物の作成を担当しています。
Aさんがデザインしたポスターとロゴ
新規事業の立ち上げ準備を担当している時に出産が重なりましたが、産休前に新規事業を立ち上げて無事に出産。育休期間を経て、産後約8か月で職場復帰しました。子育てや家庭の仕事もしながらなので、無理がないようにと、1日7時間の就業時間で会社と契約。それぞれの事情に配慮した働き方をサポートしています。
Aさんが作るポスターやメニューのデザインは好評で、本人の自信に繋がっています。
「仕事を大変と感じることはなく、私が言ったことに対して、『そうだね!』と言ってくれるので、やってみよう!と思えます。チャンスをもらえるので、仕事をしていても楽しいです」
楽しく仕事ができているのは、仕事のやりがいがあることと、一緒に働くスタッフのおかげでもあります。
「子どももまだ小さいので、保育園からの呼び出しも頻繁にあります。申し訳ない気持ちでいっぱいになるんですが、『大丈夫だよ、いいから気にしないで』と言ってくれるので、ありがたい環境だなと思っています」
子育ての悩みを共有したり、先輩からアドバイスをもらうこともあるそうです。他のスタッフも声をかけてくれて、周りの理解とサポートがあり、子育てと仕事の両立ができているそうです。
みなさん口を揃えて言っていたことは「仕事が楽しい」ということ。
一人ひとり生活する環境や背景は異なりますが、だからこそ個を大事にして、その人の「やりたい!やってみたい」を実現できるよう、株式会社高田松原は一緒に働くスタッフを応援、サポートしていきます。
新たな場所で、まずは「楽しい」からはじめてみませんか?
Text:吉田 ルミ子