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農業、漁業、林業の一次産業が中心。
かきやほたてなどの産地として、海のイメージが強い陸前高田ですが、市面積の8割を山林が占めており、漁業、農業、林業それぞれに資源があります。
ここではそれぞれの産業について詳しくご紹介します。
リアス式海岸が生んだ豊富な資源
太平洋に面したリアス式海岸を有する陸前高田の海では、わかめやこんぶなどの海藻類や、あわび・うに・ほたて・かき・広田湾産いしかげ貝などの貝類、さけなどの魚類が豊富です。中でも市場に出回ることが珍しく、高級二枚貝として有名な広田湾産いしかげ貝や、広田湾の栄養豊富なプランクトンを餌にするかきは、東京の築地市場でも高値で取引されています。
出展:広田湾漁業協同組合 業務報告書
漁業にまつわる環境
陸前高田市が漁業で特に力を入れているのが養殖業と定置網漁です。養殖業では、わかめ・こんぶ・ほたて・かき・広田湾産いしかげ貝・ほやなどを育てています。定置網漁は海中の定まった場所に網を設置し、回遊する魚群を誘い込んで漁獲する方法です。過剰漁獲になりづらく、持続可能な漁獲方法として評価されています。漁業の新規起業者への補助はもちろん、小中学校に向け水産教室を実施したり、市内にある高田高校に海洋システム科を置くなど、漁業を学ぶ環境や機会も多くあります。
海産物を使った新商品
東日本大震災のあと、陸前高田産の海産物を使った加工品が商品化されました。ほたてとわかめの炙りやしゃぶしゃぶが楽しめる「ホタワカ御膳」には、気仙杉を用いたタワー型の食器やブランド米「たかたのゆめ」が使われ、陸前高田をまるごと味わえます。「牡蠣のバーニャカウダ」は広田湾産かきを贅沢に使った新感覚の調味料。ミネラル豊富な雪解け水を吸い込み、一年でもっとも美味しくなるといわれる春先のかき。その味わいを一年中楽しめる商品です。
陸前高田市を代表する農産物・米崎りんご
陸前高田市は年間を通じて日照時間が長く、比較的温暖な気候であることが特徴です。海岸と山の間の傾斜地に広がる米崎町では、この温暖な気候と、海岸に面した水はけのいい土壌を活かし、古くからりんごの栽培が行われています。他のりんご産地と比べて霜がおりるのが遅いため、充分に木に実らせて熟してから収穫できるのが特徴です。
ブランド米「たかたのゆめ」と新しい作物
陸前高田市では、震災で浸水した米崎町に大規模な園芸施設を構えています。この施設は、振興作物として栽培しているトマトやイチゴを、一年を通して安定生産することを目的としています。
また、陸前高田市でしか作付けされていないオリジナルブランド米「たかたのゆめ」が誕生。作付面積は平成29年までの5年間で5倍以上に増えました。津波で甚大な被害を受けた農業の復興のシンボルとして、地域ブランド米としての確立を目指しています。
農産物を使った新商品
全国的にもめずらしい海のそばのりんご産地である陸前高田市米崎町。蜜のぎゅっと詰まったおいしいりんごの味わいを一年中楽しんでもらえるよう、ジュースやジャムなど様々なタイプの商品化が実現しました。また、自家産の野菜と米で作った「米粉ぱすた」の商品化、地元の醤油醸造会社とともに開発した「和ぱすたドレッシング」の販売と、広がりを見せています。
質のいい国産材「気仙杉」
陸前高田市は市の木として杉が制定されており市の山々には「気仙杉」をはじめとした、豊富な木材資源を有しています。気仙杉は、軽くて軟らかいため加工しやすい木材です。木肌のつやが良く、あたたかな手触りで、独特の芳香を放ちます。気仙大工の故郷である気仙地方は、良材を選び、伝統工法を受け継ぐ林業、建築の技に定評がありました。また、人工林が市面積の6割弱を占めているのは県内でも陸前高田市のみです。
出展:陸前高田市森林整備計画
森林の可能性を広げる低コスト林業
陸前高田市では、地域おこし協力隊の制度を利用し、自伐型林業を推進しています。自伐型林業とは、自家伐採と小規模機械を用いた低コストで就労機会の広い環境保全型の林業です。現行の林業に比べ、就業者の創造は10倍、初期投資コストは1/10以下と言われています。また、同じ山林を継続して管理するため、森林への獣害の侵入を防止したり、作業道が土砂災害予防につながるなど、持続的な森林経営が可能になります。
木と食とのコラボレーション
陸前高田市の地場産業である林業が、他の分野でも活かされています。
米崎りんごとのコラボレーションでは、気仙杉の特性である木肌のツヤの良さと優しい手ざわりを活かして、りんごを入れるギフト箱を仕上げました。
ホタテとワカメの炙りやしゃぶしゃぶが楽しめる「ホタワカ御膳」には、気仙杉を用いたタワー型の食器「気仙杉タワー」が使われており、料理を楽しみながら気仙杉の風合いを感じることができます。
暮らしをともにし、学ぶ
陸前高田市では企業、修学旅行生、大学生を対象とした民泊事業にも力を入れています。陸前高田の普段通りの暮らしを、共同生活を通して体験することにより、地域コミュニティのあり方、自然の恵みがある暮らし、人と人との関わりを肌で感じることができます。参加者からは、ホストファミリーの人の良さや陸前高田市民のあたたかさが伝わったと好評を得ています。
商業の中心地として
新たな陸前高田市の中心市街地にある大型複合商業施設「アバッセたかた」には、地元の中心企業者14店舗が集まっています。各店舗の店主はみな気さくな雰囲気で、これからのまちづくりに前向きです。中心市街地を活性化し、高田に暮らす人々に愛される場となるよう、意気込みを見せています。