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※マネージャーの募集は終了しました。
「木と人をいかす」をコンセプトとした宿泊・滞在施設「箱根山テラス」。
箱根山テラスがあるのは、陸前高田市の広田半島、その付け根にある「箱根山」という低山。木漏れ日のさす細い坂道を登っていくと、広々としたデッキが印象的な建物が現れます。
宿泊棟にある部屋は和洋あわせて全14室。隣にはカフェ&バーやワークショップルーム、まちライブラリー「山ノ上ノ談話室」など利用者が思い思いに過ごすことのできる空間が備えられています。
今回この記事で募集するのは、箱根山テラスを運営する株式会社箱根山テラスの社員として、施設全体の運営に携わるマネージャーと、イベントなどの企画・広報を担うスタッフ。
単に宿泊施設の従業員としてではなく、長い目線で地域と関わり、育てていける人にぜひ知ってほしい仕事です。
箱根山テラスの3人。左から長谷川さん、野尻さん、溝渕さん。
「震災後、宿泊する場所や会議する場所が陸前高田市からなくなってしまったことが箱根山テラスを建設するプロジェクトをスタートした最初のきっかけです。プロジェクトには、様々な分野で活躍している方たちが関わってくれました。そのみなさんで決めた箱根山テラスのコンセプトは『自然の中に寄り添う』とか『自然のものをいただく』とか、人の暮らしを原点回帰するようなイメージです」
と、話すのは、株式会社箱根山テラス代表取締役の長谷川順一さん。
箱根山テラスの建設が計画されたのは東日本大震災が起こった後のこと。震災の被害を受けて、失われた宿泊施設や会議スペースなどの再建を目指して始まりました。
陸前高田市で建設事業やエネルギー事業に取り組んでいる長谷川建設代表取締役も務める長谷川さんは、ランドスケープデザイナーや数名の建築家、ディレクターとともに工事に着手。
2014年9月に箱根山テラスをオープンしました。
建物の壁は地産材・気仙杉、床材には県産材を使用し、カフェ&バースペースには、木質資源の活用を意識してペレットストーブを導入。さらに、施設内にあるテラスからは、森林の間から広田湾が見下ろすことができるなど、施設のいたる所で陸前高田市の壮大な自然と触れることができる設計が施されています。
「私達の身近に多くある人工物と違って、こういう自然を感じられる場所にいると、人間のちっぽけさが分かるんです。普段意識することが少なくなってきた自然の壮大さを伝えるためにも、箱根山テラスでは『自然に寄り添う』価値観を大切にしたいです。」
海と空を眺めながら、「『箱根山テラスを営業してます』というより、『自然のなかにお邪魔させていただいてます』という感じ」と笑う長谷川さん
その箱根山テラスで実際に施設を運営しているのがマネージャーの溝渕 康三郎さん。
溝渕さんは、カフェ&バーの運営やスタッフのシフト管理など、施設全体のマネジメントを担当しています。
箱根山テラスは、宿泊施設だからこそ、利用者のほとんどが、陸前高田市外から訪れる人たち。一方で、カフェやミーティングスペースを備えていることから、地元の方々も訪れることが多いそう。
溝渕さんは、そうした施設の利用者と関わる中で「さりげなく、自然な」 対応を心がけているといいます。
「箱根山テラスには、ふらっとコーヒーを飲みに来てくださる方もいれば、宿泊で長時間滞在してくださる方もいます。お客様によって過ごし方は様々ですが、日常から離れて周囲の豊かな自然に身を委ねながらくつろいでいただけたらと思います。
そこで意識しているのは、スタッフがお客様のノイズにならないこと。例えば、訪れた方がテラスからの景色を見て『わあ』と感動されている時は、その様子をちょっと離れて見守り、何か聞かれた時だけ答えるようにしています。
あくまで主役は景色やその景色を堪能するために設えられたシンプルな空間。ホテルやカフェにとっての『こうあるべき』という概念にとらわれず、お客様にとって違和感のない接客を心がけています。 」
様々な工夫が施された空間だからこそ、自然な接客を意識しているという溝渕さん。たしかに箱根山テラスを訪れると、スタッフとお客さんの「ちょうどいい」距離感が保たれているように感じます。
「スタッフとして働くなかで、お客様が景色を見て感動されたり、思い思いに過ごされている様子を目にすると、『利用してくださる方たちが、箱根山テラスの何に価値を感じているのか』が腹落ちしていきました。この接客スタイルだからこそ、箱根山テラスの魅力が伝わっていくのだなと感じています 。」
続いてお話を聞いたのは、スタッフの野尻 悠さん。出身地である東京都足立区から2017年9月に陸前高田に移住し、同年10月から箱根山テラスで働き始めました。
もともと「人と関わることが好きだった」という野尻さん。陸前高田市外から訪れる利用客との交流に充実感を得ながら、一方でより「陸前高田に根付いた」施設にすることを目指しています。
「箱根山テラスはオープンして4年が 経っていますが、地元の方でもここに施設があることを知らない人がいたり、知っていても宿泊客でないと入れないなんじゃないかと思っている方もいるようです。
でも、私としては、一息つきにテラスから景色を眺めに訪れてもらうだけでもいいなと思っています。せっかく陸前高田にあるので、より地域に寄り添っていきたいと思うんです」
最後にもう一度、溝渕さんに。今回の求人でどんな人が求められているのかをお聞きしました。
「出会いや交流を地域に還元していく、そういうことを楽しめる人がいいですね。」
地域に還元していく。
「箱根山テラスにいると、全国津々浦々または海外など様々な場所から訪れる人と出会います。そういった出会いをきっかけとして何かものごとが生まれる機会には恵まれている環境だと思います。
例えば、箱根山テラスを訪れたお客様が『こんなことをしたい』とイベント企画を持ってこられた時に、斬新な内容で大成功したとしても単発で終わってしまってはもったいない。そこで、継続的な開催や地域との交流を意識して地元で関心のありそうな方をご紹介してみる。そうやって箱根山テラスに訪れた方々と地域との関係性を丁寧に紡いでいく。そんな働き方にピンとくる人がぴったりだと思います。
地域のルールや常識に捉われず、外から移り住んだからこそ感じられる視点を活かして、箱根山テラスや陸前高田の魅力を発掘・発信していただきたいです。」
そうして新たに陸前高田の魅力を見つけられるような人と共に、箱根山テラスが「新しい陸前高田を作っていく」ためのひとつになることを目指す溝渕さん。箱根山テラスでは、長谷川さんや溝渕さん、野尻さんと共に、陸前高田で前向きにチャレンジしていきたい人を募集しています。
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(Text : 山崎風雅)