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陸前高田市で昭和34年に創業した建設会社、株式会社長谷川建設(以下、長谷川建設)。
本業である「土木・建築」はもちろん、市内の宿泊施設「箱根山テラス」の立ち上げにも参画するほか、エネルギー事業としてペレットストーブの普及にも取り組んでいる多彩な会社です。
今回は、長谷川建設のエネルギー事業部門でペレットストーブの魅力をお客様にお伝えする人材を募集します。
はじめにお話を伺ったのが長谷川建設 代表取締役社長の長谷川順一(はせがわじゅんいち)さん。会社について、そして長谷川さん自身について伺いました。
陸前高田で生まれ育った長谷川さんは、28歳という若さで長谷川建設の社長に就任。当時は、まさに右も左もわからない状態だったといいます。
「うちの会社がバイオマスに取り組んでいるのは、地域の中で木質資源を使うことで経済循環を生みたいと考えたからなんです。より持続可能な仕組みを作りたかった。本当は、ペレットを作る方に回りたかったんですが、事業をスタートした2012年頃はペレットを作る会社はあっても、使ってくれる人がいなくて…。『まずはストーブを売ろう』という方向で始まったんです」
なるほど、持続可能な仕組み作りの下地として、ペレットストーブの販売を始めたんですね。ストーブというと、灯油ストーブや薪ストーブも思い浮かびますが、ペレットストーブの良さってどんなところにあるのでしょう?
長谷川さんによれば、「薪やチップと比べても、持ち運びや保存のことを考えると灯油のライバルになれるのは、ペレットが一番」と感じたのだそう。まっすぐに進んできたように感じる長谷川さんでも、ペレットを作るために製造過程で燃料を使うということがしっくりこなくて「燃料を使って燃料を作るペレットって無駄じゃないか?」と考えたこともあったそうです。
ですが、「エネルギー問題だけに限らないんですが、社会課題って特効薬がないので。私の場合、スタートは『とりあえずやってみよう! 』でした。そうすれば自分に見えなかった課題が見えてくるんじゃないかと思って、恐る恐るペレットストーブの販売をはじめたような感じです」
灯油ストーブと比べると、まだ知る人ぞ知るなペレットストーブ。最初はどんな風に事業をはじめたんですか?
「よそのお店の前でストーブを使って淹れたコーヒーを配っていましたね。自分もペレットストーブの存在を知ってはいても見るまではピンとこなかったし。
夏祭りや秋祭りにも一人で「きりんさん」っていう小さめのストーブを持って参加して、お客さんに実際に見てもらえる機会を増やそうとしていました」
次にお話を聞いたのは溝渕康三郎(みぞぶちこうざぶろう)さん。
高知県生まれの溝渕さんは2013年9月に「木質バイオマス普及プロジェクト」に携わるため陸前高田に移住し、長谷川建設に入社。現在は箱根山テラスの仕事を担いつつ、エネルギー事業に従事しています。
溝渕さんが携わり始め、営業スタイルも変わりました。地元のお祭りでは「きりんさん」だけでなく、実際のストーブも使ったり、林業や製材の会社にペレットストーブを知ってもらえるよう働きかけたり。
「溝渕くんが来る前の担当者に、『社長、営業って、どうすればいいですかね?』って聞かれたことがあって。私が言ったのは『うん…!売るな!』だった(笑)売らないとだめなんじゃないんですか?って驚かれたけれど、売ることよりも、まずはお客さんにペレットストーブについて理解してもらうことが大事だと思ってるんですよ。慣れるとかわいいやつですが、意外と手間もかかります。きちんと説明して、わかってもらって、お客さんから『ストーブ欲しいな』って言われないと」
売ることを目的にせず、よく知ってもらう、体験してもらうことを重視した営業活動。溝渕さんは働き始めてどんなことを感じましたか?
「そうですね、陸前高田に限りませんが、地方都市では会社経営者など街を引っ張っていく立場の人たちが高齢化しているという印象があったんですよ。ですが、住み始めてバイオマス事業に携わる中で出会ってきた業界のみなさんは同年代の方も多くて、いい意味でイメージが覆りました。嬉しいつながりがたくさんできましたし、自分で起業している方々のお話には刺激を受けます。
あとは、社長も話していましたが、物を売るだけではない、人との関係性やライフスタイルを提供しているという気持ちを忘れないようにしています」
ペレットストーブのような火のある暮らしは、男性の方が憧れが強いイメージがありますが、実際の暮らしはどうなんでしょうか?長谷川さんに伺うと、
「そうですね…かわいい犬、ペットという感じが近いかもしれません(笑)ペレットストーブは部屋を暖める以外にも、焼き芋をしたり、お鍋を温めたり、調理にも使えるんです。そのあたりは、使い方が上手なお客様から教わることが多いです」
ペレットストーブを通じて「火のある暮らし」を提案していく、今回のお仕事。お二人はどんな方と一緒に働きたいですか?
「資格やこだわりはあまりないんだけど、コミュニケーションの力はあったほうがいいなと思う。欲を言うなら『ローカルな暮らしが好き』というベースがその人の中にあったら嬉しいね。どうしても自分が好きじゃないものを広めるって辛いですから」
溝渕さんはいかがでしょうか?
「いろんな状況を楽しめるスタンスの人が合うと思います。わたしが移住してきたときも震災のあとの復興の時期と重なりましたが、今もあのときのような流れの速さを感じています。こういうときだからこそ、『陸前高田に行ったら行ったで楽しもう!』っていう気持ちは大事。逆にストーブの知識や建設についての知識は今の段階で持っていなくても大丈夫です。プロの大工や、業界の先輩がいるから安心ですよ」
お二人とお話していると、自分が応募したくなってしまいました(笑)
すると、「女性のお仕事としても合う職場だと思いますよ。お客様のニーズにあわせて臨機応変な対応をしたいという方には、きっとやりがいを感じていただけると思います」と、長谷川さん。
たしかに、女性ならではの生活に寄り添った提案はお客様にも喜んでいただけそうです。
働くことと暮らすことは、とても近い場所にありますよね。ここ、陸前高田での「暮らし」について長谷川さん、教えて下さい。
「たしかに自然の中で暮らしているし、田舎に住んでることにはかわりないんだけれど、『田舎暮らし』をしているか?っていうとそうじゃないと思うんです。環境が自分で選べる時代に生きているのだから、『自分の心の中にある理想の暮らし』を実現しに来る場所、それが陸前高田だったら嬉しいですね。
暮らしも仕事も理想は『自己完結』だと思っています。他者と関わる、目の前の相手がいる中ではじめて成り立つことが自立で、一人ぼっちでいるのとは違う。それが陸前高田のような地方での暮らしのスタンダードになっていったらいいな、と考えています。フィールドは広いですから、理想を実現するスペースはたっぷりとありますよ!」
今回お二人からお話を伺っていて感じたのは、お二人の実直さ。決してうわべだけではない、思いを形にする過程を知っているからこその言葉の重みとおおらかさ。
このお二人とあなたのお仕事が、陸前高田を新しいエネルギーの街に変える第一歩になるかもしれません。