コンテンツ
陸前高田市で昭和34年に創業した建設会社、株式会社長谷川建設(以下、長谷川建設)。
復興関連工事の縮小とともに、本業である「土木・建築」が衰退していくことを早くから危惧していた代表取締役社長の長谷川順一(はせがわじゅんいち)さん。震災直後から新規事業の開拓に邁進され、ペレットストーブの普及をはじめ、「ペチカ カフェ&ライブラリー」の運営や、地域電力会社「陸前高田しみんエネルギー」設立への参画など、数々のプロジェクトに取り組まれてきました。
今回の求人では、そんな長谷川さんが事業の種を探す中で巡り合った「海藻の陸上養殖」の事業責任者候補を募集します。
「えっ、海藻?陸上養殖???」と思った方も多いはず。
そこで、この事業を始めた経緯について長谷川さんに伺いました。
「合同会社シーベジタブル」という海藻の陸上養殖のベンチャー企業が高知にありまして、共同代表者の友廣くんとは実は震災前から縁があるんですよ。
彼とは震災後も「箱根山テラス」やペチカに取り入れている「まちライブラリー」のことでも色々と交流が続いていました。なので、以前からシーベジタブルのことも聞いてて、実際に何度も高知の現場を見させてもらって蜂谷くんともよく話し合っていました。
合同会社シーベジタブル
共同代表 蜂谷 潤さん(写真右)、友廣 裕一さん(写真左)
2017年くらいだったかなぁ。高知以外にも生産拠点を増やしていくって構想を友廣くんから聞いて、陸前高田でもやれないかなって考え始めたんですよね。以前から障害者の仕事づくりには課題感を持っていたのですが、比較的安全で単純な作業が多くて就労支援施設と連携しやすいことがわかってきて、なるほど、こうして背景を聞くと、建設会社で養殖?っていう意外性も腑に落ちてきますね。その後、陸前高田で養殖を始めるまでの流れを聞かせていただけますか?
あすなろホーム(障害者就労継続支援事業所)の方々が収穫した海藻を並べる様子
2018年辺りから具体的に動き始めて、途中用地の調査に苦戦しましたが、陸前高田市や広田湾漁協に相談しながら、なんとか広田半島の一角に決まりました。それから半年くらいの工期を経て2019年の秋から養殖をスタートすることができました。シーベジタブルとしても東北地方の拠点は初めてということもあって、実際には海水温が低すぎて一年間の半分は生産できないという難しさにも直面しています。
一方で、画期的な生産方法とか海藻の品質の高さ、福祉業界との連携やなんかについて各方面から評価していただけることもあるので、挑戦した甲斐があったなと少しばかり手応えを感じています。聞けば聞くほど、経営者である長谷川さんの目のつけどころ、事業に着手してからのスピード感など驚くばかりです。
こうした経緯でスタートした陸上養殖。現場でのお仕事はどんな感じなんでしょうか?
ということで、次にお話を聞いたのは村上真(むらかみしん)さん。
陸前高田市の北隣にある大船渡市生まれの村上さんは、2011年当時地元の高校を卒業して大学へ進学するタイミングで東日本大震災に遭遇。首都圏の大学に通っている間も故郷への思いは年を追うごとに強くなり、就職にあわせて岩手県へUターンされました。2015年に長谷川建設へ入社して以来、ペレットストーブの普及に従事しながら、長谷川さんが養殖事業の準備に取り掛かって以降は、そのサポートや養殖場建設の現場監理、養殖場の日々の運営も担当されています。
新しい事業ということもあって、養殖場の工事や毎日の業務について大変だったことなどありますか?
工事の現場監理は、ペレットの仕事では経験したことがない規模の業務だったので、正直なところ自分に務まるのか不安でした。社内外関係各所との調整も多くて当初は翻弄されっぱなしでしたが、それでも恥を忍んでベテラン技術者の方々にアドバイスいただきながら、何とか完成に漕ぎ付けることができました。細かい部分の工事は自分自身が担当することもあって、ストーブの工事で積み重ねてきた経験が少しは役に立ちました。
養殖がスタートしてからは、日進月歩のシーベジタブルさんに付いていくだけで精一杯という気持ちですが、「あすなろホーム」さんと一緒に得意なところを活かして、苦手な部分はお互いフォローしながら働くことは、とても新鮮でやりがいがあります。
今までとはガラッとスタイルが異なる仕事だと大変なことが多い分、充実している様子が伺えますね!
あすなろホームさんとのやりとりで印象に残っていることなどあれば、教えていただけますか?
そうですね、「海藻を育てる水槽の洗浄」と「収穫した海藻を乾燥用のラックに並べる」という大きく2つの作業に分かれるんですが、回を重ねるごとに作業が早くなったり、より綺麗に洗ったり並べられるようになったり、1人1人が成長されていく様子を側で見ていると嬉しくなります。
ありがとうございます。皆さんが生き生きと作業されている様子が伝わってきました。
最後にお二人はこの事業を通して、どんな方と一緒に働きたいですか?
まずは長谷川さん、いかがでしょう?
生産をスタートして1年が経ったので、これからはより効率的な作業方法を考えたりとか、やるべきことも少しずつ見えてきました。長い目で見て、地道な改善を積み重ねていくことにやりがいを感じられる方ですかね。現場の作業以外だと、地域の事業者に卸売や小売を始める話もあるので、1つの仕事を極めていくというより、現場管理から商品の販売、食卓の創造まで事業全体に関わることを楽しめる方だと理想的ですね。
村上さんはいかがでしょう?
養殖の仕組みは一通り完成されていますが、シーベジタブルさんはどんどん新しいことにチャレンジされているので、変化を楽しめる方、また、あすなろホームさんや養殖に関わる社外の協力者の方々とも上手く関係性を育んでいける方だといいなと思います。
地域内外のパートナーと伴に、新しい事業や働き方を創造し続けている長谷川 建設さん。これまでの経験は生かしながらも、前例や慣習にとらわれず、自らの考えを提案し実行していける方にこそ挑戦していただきたいお仕事です。