コンテンツ
陸前高田市の高田松原に隣接した場所に事業所を構える「理研食品株式会社 陸前高田ベース」。
理研ビタミン株式会社の100%子会社で、「わかめスープ」や「ふえるわかめちゃん」を製造する理研食品株式会社(以下、理研)で初となる、海藻の陸上養殖施設として2021年に開設しました。
今回は一緒に働く、契約社員とメイト社員(パート)を募集します。
はじめに、原料事業部長の佐藤陽一さんと、原料事業グループリーダーの沼田雄一郎さんに、お話しを伺いました。
研究を経て、初の陸上養殖に選んだ場所
「ワカメに関係する食品の開発と製造を中心に長年やってきました。事業テーマとして多様化していこうと、7年くらい前から『ときめき海藻屋』として、ワカメから海藻全般に勢いを広めていくというブランド戦略を掲げました」
左:原料事業グループリーダーの沼田雄一郎さん 右:原料事業部長の佐藤陽一さん
理研食品がワカメの次に目をつけた海藻が「青のり」です。青のりは主に西日本で収穫できていましたが、その収穫量も減少傾向にありました。
「高知大学が陸上養殖の技術を開発して、愛媛県や高知県、広島県などで養殖生産が広まりつつありました。理研食品では、2016年ころから高知大学の先生と、東北地方に青のりや他の海藻を陸上養殖ができる生産拠点をつくろうと目指して、共同研究を始めたんです」
どのようにして種をつくるのか、どうやって生育の条件を整えるか。実際にどの様に工場としてしっかり生産できるようにするのか。など、全ての工程に対して研究を重ねました。
研究も順調に進み、次は陸上養殖ができる生産の拠点となる場所を構えること。
「条件としては3つ。1つは、良質な海水がたくさんとれること。2つ目は、養殖に使った海水を海に戻すので、地元の漁業者との信頼関係がないといけない。3つ目は、広い土地を借りてやることなので、自治体の理解がないといけない。宮城県、岩手県の色んな場所を調査してみましたが、結果この3つの要素全てをクリアできたのが、陸前高田でした」
共同研究をはじめて5年が経ち、拠点となる場所も決まり、2021年10月に陸前高田ベースが竣工開始となりました。
現在、陸前高田ベースで働く従業員は7名。佐藤さんと沼田さんは、研究拠点である宮城県名取市の事業所に勤務しています。定期的に陸前高田ベースを訪れて、現場のサポートを行っているそうです。
仕事は、生きもの、食べもの、働く人へのリスペクトから
陸前高田ベースでの具体的なお仕事内容、実際に現場で働く従業員の方にもお話を伺いました。
「基本的には、青のりを養殖して加工する作業など、現場作業が中心となりますが、男性と女性で仕事内容は分かれています。男性は、外の養殖水槽の管理や収穫作業。収穫した青のりを洗浄したり塩分を抜く作業をします。女性は、洗浄された青のりをトレイに並べて、異物をとる作業、乾燥機に入れて乾燥をさせたり、種苗の管理など室内での作業がメインとなります」
理研食品株式会社の大船渡工場に勤務していた、開保津誠さんは、一度定年退職をしましたが、陸前高田ベースができたタイミングで再雇用となりました。
「生きものを扱う仕事なので大変さはありますが、難しい陸上養殖の仕事に携わることができているのが、誇りですね。形としては定型的な業務ではありますが、やっている仕事は、細かい作業がたくさん嚙み合っているんですよね。そういう面でも、面白いですし学ぶところもたくさんあります」
一緒に働く契約社員のYさんは、「ワカメの手伝いなどは経験がありますが、養殖作業の仕事は初めてでした。初めて体験することも多くて、うまくいった時もあったり、そうでない時もあったりですが、やりがいを感じて働いています」
陸上養殖の大きなメリットとしては、陸の上で安心して誰でも作業ができることです。無理のない重さ、天気が悪い時はスケジュールをずらすなど、コントロールができる状態でもあります。船に乗らなくても、養殖の仕事や海に携わる仕事ができることが、陸上養殖の魅力です。
女性従業員のみなさんからは、「メイト社員でも、福利厚生がしっかりとしています。上司も優しい人ばかりですし、従業員同士思いやりを持って仕事をしているので、職場の雰囲気もいいと思います。仕事内容は、体を動かす作業もあるので、体力はあった方がいいですが、未経験の方でもできるので、働きやすいと思いますよ」
働くうえで従業員に大切にしてほしいことは、「人の健康、食に関わるものを作って、お客様へ提供をしているという意識を持つこと」だそうです。
食べ物を大事にする気持ち。育てて、加工する一連の作業に面白さや楽しさ、喜びをもって取り組んでくれる方の応募をお待ちしております。
興味のないことからはじめてみても
実は陸前高田ベースには、世界初の研究に成功した海藻に関してのスペシャリストがいます!
愛媛県出身、北海道育ちの木下優太郎さんは、小さい頃から海が大好きな少年でした。
「海から離れていて、人口よりも牛が多いような場所で育ったので、ずっと海に憧れがありました。高校をでたら、海が近くにある場所に行こうと考えていたので、生まれた愛媛県に近い高知大学に進学しました。大学の先生が海藻の研究をしていて、当時は興味がなかったのですが、実際にやってみると楽しくなり、学部から修士課程に進みました」
卒業後の2016年に理研食品に入社し、大学で学んだ海藻の知識を生かして研究を重ねました。木下さんの海藻への探求心はますます強くなり、もっと専門的な知識を学びたいと思い、社会人の博士課程に進学します。
「お寿司屋さんの味噌汁などに入っている、海藻のヒトエグサについて研究を行っていました。無菌の環境下ではうまく生育せず、海洋にいるバクテリアを添加するとよく成長するということが分かり、細菌と海藻の共培養に着目した研究に成功したのは、世界で初めてのことでした。研究は失敗続きで、1日中顕微鏡を覗いていることが多く大変でしたね。最後まで指導、協力をしてくれたみなさんのおかげで、無事に卒業ができ、研究も成功しました」
木下さんの研究成果により、ヒトエグサの陸上養殖ができるようになり、理研の研究開発の推進に貢献したとして、2021年に社長賞を受賞しました。
研究も落ち着き、2022年2月からは陸前高田市での生活をスタートさせます。
「陸前高田ベースでは、生産管理の業務に加えて、海藻の基礎と応用の研究を行っています。新しいことを発見した時にやりがいを感じますね。生きものをかっているので、思った通りにいかないこともありますが、失敗をしたとしても、最後までやり遂げることを目標に日々取り組んでいます」
仕事も軌道にのり、陸前高田での暮らしも充実しているという木下さん。
地域のお祭りや高田暮舎が主催するイベントにも、積極的に参加するようになり、地域の人たちとの交流も生まれているそうです。
「陸前高田に住んでみて、地域の人たちのあたたかさを感じます。移住者を受け入れやすい環境が整っていると思いますね。居心地がよくて、安心感を与えてくれるので、この町がすごく好きになりました」
楽しみのひとつである熊谷珈琲店でのモーニングでは、地域の人たちとの交流も深まります
仕事も暮らしも楽しめている木下さん。最後に、今後の目標を伺いました。
「将来の構想として養殖の規模を倍にするという計画があります。それまでに青のりを安定的に生産し、生産量を上げる。そして陸前高田の名産品として、認知度をあげて、全国へお届けできるようになるのが目標ですね!」
陸前高田ベースで採用された人は、他事業所への異動はありません。ここ陸前高田でのお仕事をベースにして、人の健康のサポートをする海藻を一緒に育ててみませんか?
あなたが育てた海藻を、ぜひ全国のみなさんのもとへ届けていきましょう。
Text::吉田 ルミ子