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「家が空いてしまっているんだけど、どうしたらいいでしょうか?」
そんな相談が日々、全国の地方自治体に寄せられています。陸前高田市でも、800件近い空き家があるといわれており、そのひとつひとつに、暮らしの記憶や家族の物語が眠っています。
今回、NPO法人高田暮舎が募集するのは、そうした空き家と人とをつなぎ、活用の道を探っていく「空き家バンク運営担当」の地域おこし協力隊です。
「住まい」から始めるまちづくり
この求人の受け入れ先であるNPO法人 高田暮舎は、陸前高田市の移住定住促進に取り組む団体。市からの委託を受け、移住・定住促進事業や、空き家バンクの運営を担っています。
空き家バンクとは、住む人がいなくなった家と、それを借りたい・買いたいと考える人をつなぐ仕組みです。ただし、実際の仕事は“単なるマッチング”にとどまりません。
「家の状態が悪い」「相続の手続きが終わっていない」「荷物がそのまま残っている」など、相談者の悩みはさまざま。最初の一歩を踏み出せずにいる所有者の背中を、そっと押していくのがこの仕事の役割です。
空き家現地調査の様子:老朽化や安全性の確認を行っています
3つの柱と、将来の展望
空き家バンクの業務は、大きく分けて以下の3つの柱があります。
- 所有者対応
「家をどうにかしたい」と悩む方からの相談に対応し、現地調査、不動産業者との連携、空き家バンクへの登録までを担当します。 - 利用希望者対応
家を探している方への物件紹介や内見対応など。不動産業者が対応しきれない部分をカバーし、現地案内まで担うこともあります。 - 広報・開拓
まだ登録されていない空き家に対しての声かけや、物件の利活用事例の発信も今後の重要な仕事です。所有者、利用希望者の双方に情報を届ける役割を担います。
加えて、今後は「利活用」に向けた取り組みにも挑戦していきたいと考えているそうです。単に“住むための家”ではなく、地域資源として空き家を再編集していく。そんなチャレンジにも関われる環境です。
求める人物像:「人と話す」「現場に入る」が鍵
この仕事に必要なのは、特別な資格や経験ではありません。
大切なのは、コミュニケーション力と、現場への訪問をいとわない姿勢。相談者の話を丁寧に聞き、不動産業者との調整や現地での確認作業など、地道な作業をコツコツ積み重ねる仕事です。
家財がそのまま残る空き家で、過去の暮らしに思いを馳せながら、次の人へとつないでいく。「書類仕事」と「感情の伴走」が共存する現場は、まさに「人の人生に触れる仕事」といえるでしょう。
ときには、家主の思いを代弁する。ときには、草を刈り、掃除をし、物件に再び光を入れる。そんなふうに「家と人の間」に立ち、粘り強く向き合える方を求めています。
内覧対応の様子:物件に関する情報をお伝え
地元とつながり、未来を描く3年間
今回の募集は、地域おこし協力隊として3年間の活動となります。「任期を終えた3年後にこのまちに残ってくれたら嬉しい」という理想もありますが、なによりも大切にしているのは、この3年間で“地域とのネットワーク”を築くこと。
所有者、不動産業者、行政、地域の人たち。多くの人との関わりのなかで、自分の立ち位置ややりたいことを見つけていってほしい。それが、高田暮舎の願いです。
「空き家の現場に立ち会って、任期終了後に自分がやりたいゲストハウスの構想が見えてきた」
「地元の人とのつながりができて、事業の仲間を見つけられた」
そんな未来も、きっとこの仕事の先に広がっています。
市民と向き合う仕事だからこそ、おもしろい
移住相談など、いわゆる市外の方との“外向け”の業務と異なり、空き家バンクの仕事は“内側”、つまり市民と向き合う比重が大きくなります。
地元の人と話し、動き、一緒にまちの未来を考えていく。ときには古き良き「田舎のしがらみ」や、独特の人間関係に向き合うこともありますが、それを「面白がれる人」にこそ、この仕事は向いています。 そんな価値観に共感できる人なら、きっと居場所を見つけられるはずです。
まずは、「気になる」からでも大丈夫です
不動産の経験がなくてもかまいません。
「家に興味がある」「地域の人と関わる仕事がしたい」「空き家活用って面白そう」と思った方、まずは気軽にご相談ください。
このまちの空き家が、新しい暮らしのスタート地点になるように。
あなたの関わりが、きっと誰かの未来をつくります。